出雲路を歩く 黄泉比良坂 ‐ 「死」の国の入口とナギ・ナミ神話


黄泉の国への入り口~黄泉比良坂とナギ・ナミ神話



日本神話では、世界は3つに大別される。

まずは、天上界で天津神が住む「高天原」、そして日本そのものを「葦原中国」、そして死者の国とされる「黄泉の国」である。

ここ出雲地方には「黄泉の国」の入り口とされている「黄泉比良坂」という場所があり、遠い昔から畏れされている。

その前に・・・。
神魂神社や八重垣神社のすぐ近くにあるのが出雲国庁跡。
奈良・平安時代の出雲国の中心地であった場所で、今でいうところの県庁や警察署にあたる建物が、この一帯に建っていた。
後ろの山は茶臼山という神名樋野(山自体が御神体)。

現在は、出雲地方一帯のサボリーマンの昼寝場所となっており、数多くの営業車を見学する事ができます(笑)

そんな国府跡をスルーして、一路黄泉比良坂へ。

この地について、記紀(古事記・日本書紀)では次のような神話が残されている。

(あらすじ)

男神伊弉諾大神(イザナギ)、女神伊弉冊大神(イザナミ)の二神は、天津神の「二人心を合わせて国土を生み、天の下の国と神々を立派に作るように」との仰せに従い、淡路、四国、壱岐、吸収、対馬、佐渡、本州と、いわゆる大八洲の国土を作られ、次にはその国に住む様々な神々をお生みになった。
しかし、最後に火の神(火之野芸速男神~ヒノヤギハヤオノカミ)を生んだとき、イザナミは、自身の女陰を焼かれてしまい、それが死因で亡くなってしまった。

イザナギ:「いとしい我が妻よ、もう一度会いたい。いや、どうしても会わねばならぬ!例え生きる者をよせつけぬ死者の世界・黄泉の国であろうと、おまえを連れ戻してみせる!」

と意を決し、イザナギは黄泉の国へ旅立ち、巨石で塞がれた黄泉国の扉の前で叫んだ。

イザナギ:「我が最愛の妻、イザナミよ。お前と一緒に作った国はまだ完成していない。早く還ってきておくれ!」

すると、程なくしてイザナミが姿を現し、

イザナミ:「なぜもっと早く来てくれなかったのですか?私は黄泉の国で不浄な火と水で炊いた食物を口にしてしまいました・・・。私の体は穢れています。もう遅すぎます・・・。」

イザナギ:「何を言うんだ、どうしても私はまだお前の助けが必要なのだ!!」

と、熱くイザナミを説得し、

イザナミ:「わかりました。この国の神々と相談してきます。しかし私が返事をするまで絶対に私の姿を見ないと約束して下さい。」

イザナギ:「約束するとも!」

しかし、待てども待てども返事がないので、とうとうしびれを切らしてイザナギは約束を破ってしまい、黄泉の国へ入り、髪にさした櫛の歯に火を付けてあたりを見渡した。

すると、そこには体中に蛆(うじ)のわいたイザナミの体が横たわっており、体の八か所には雷(かなづち)が生まれ、あまりにも醜い姿に変貌していた。

イザナギ:「こ・こんな醜い姿になっていたとは・・・」

イザナミ:「あなた、あれほどここに来るなと言ったのに、それを破って私の恥ずかしい姿を見たわね!死の世界へ足を踏み入れたからには、生命が宿る世界へは戻ることはできませぬ。あなたは私とここで暮らすのです。」

イザナギはその醜い姿に恐れてしまい、逃げようとする。

すると、イザナミ、雷(いかづち)、黄泉醜女(よもつしこめ)らが、必死になって追いかけてきた。
これに対し、イザナギはかずら(髪飾り)から生まれた「野ブドウ」、櫛から生まれた「(たけのこ)」、黄泉の境に生えていた「桃の実」(意富加牟豆美命、オオカムズミノミコト~イザナギを助けたように、葦原中国の民を救うよう願いを込めて命名した)を投げて、黄泉醜女や雷らの気を惹かせて、何とか難を振り切った。

そして、黄泉国と地上との境である黄泉比良坂(よもつひらさか)の出口を大岩(道反の大神)で塞ぎ、イザナミと完全に離縁し た。

その時に大岩を挟んで、二人が次のように罵り合った。

イザナミ:「そのようなひどいことをするのなら、私はお前の国の人間を1日1000人ずつ殺してやる!」
と、怨念めいた言葉を吐き捨てると・・・

イザナギ:「お前がそんなことをするのなら、私は1日1500人の産屋を建ててみせる!」
と、言い返した。

そのような理由で、日本の人口は増えているのだとさ。
(現在は減ってますが・・・よくない傾向です)

(おしまい)

この神話の舞台地となった場所は、安来市にある黄泉比良坂。
この巨石の先は黄泉(死者)の世界。
怖くて、さすがに石で囲まれた入り口を通過しようとは思わなかった。

実は、この地に到着して鳥居を潜ったら、急に寒気がして身震いした。(これ実話)
私自身は意識した事はないが、友人からは「霊感が強い」などと良く言われているので、きっと黄泉の世界の発信音を受信したのであろう。(と、さらりと言うな!?)

また出雲には、猪目洞窟という「黄泉の穴」という場所もあって訪ねてみたが、これはまた後日。

「神蹟黄泉比良坂伊賦夜伝説地」と刻まれた石碑が建っている。
ドロ~ン・・・><

因みに神話のアフター・ストーリーは・・・

逃げ切った男神イザナギは筑紫の国・阿波岐原に赴いて、黄泉の国で穢れた身体を洗い清めた。(のちに言う「禊ぎ」のこと。神社参拝前に行う「手水」の祖)
すると、イザナギが脱ぎ捨てたものから次々と神々が生まれて、身体に水をそそぐ度にも神々が生まれた。

そして、最後に左目を洗った時に天照大御神(アマテラスオオノカミ)、右目を洗った時に月読命(ツクヨミノミコト)、鼻を洗った時に建速須佐之男命(タケカミスサノオノミコト・・・八俣の大蛇の主人公)という尊い神が生まれて、その後の日本を形成していった。

対する女神イザナミは、不幸な神のようにも受け取ることも出来るが、神話の意図するものは、夫婦仲良くすること、女性は出産という大役を持つということで、産後が悪くて早く他界されたイザナミの命は女性の守り神として、のちに崇められた。
尚、イザナミは黄泉津大神という名で、近くにある揖夜神社や前述した神魂神社の御祭神となっている。

以上、ナギ・ナミ神話と神話の舞台地、そして「禊ぎ」の由来と、有名なアマテラス大御神とスサノオが生まれた神話について書いてみました☆


次回は神社から一気にグレート・ネイチャーな島根へ☆


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