キノミヤを追いかけて-6 三嶋大社 (2) 記紀にない伊豆島造り神話


キノミヤを追いかけて
6 三嶋大社 (2) 記紀にない伊豆國『島造り神話』




前回、三嶋大社の御由緒について書き綴ってみたが、今回は室町時代に編纂された「三嶋大明神縁起」及び「三宅島薬師縁起」、総称して『三宅記』と呼ばれている三島の『島造り神話』の話を。

谷川健一著「日本の神々」にて分かり易く書かれいるので、抜粋(及び肉付け)してみた。

拝殿と左にある社は若宮社


三島大明神はもともと天竺の王子であったが、七歳の時に母が亡くなったあと、父の後妻とそりが合わず無実の罪に問われて追放になってしまった。
そして唐・高麗を経て日本に渡ってきて、富士山の神に出会い、安住の地を請い求めたところ、神は、海中ならばどれだけでも与えようと引き受けた。

王子は一旦帰国したのち、ふたたび渡来し、丹波で翁と嫗に出会い、伊豆の海中に島を焼き出して住むことを勧められ、三嶋大明神と名乗るようにいわれた。翁と嫗は、じぶんの二人の男の子若宮と剣、それに女の子の見目を王子の供につけてやった。

王子はその三人に銘じて、龍神や雷神をやとい、孝安天皇二十一年(BC371)から伊豆の海中に島を焼きをおこない、七日七夜の間に、十の島を焼きだした。明神はそれぞれの島に命名した。

摂末社

第一の島は初島、第二の島は神々が集まって島々を焼き出すための詮議をしたというので、神集(こうず)島、第三の島は大きいので大島。第四の島は潮の泡を 集めて造ったので色が白く、新島。第五の島は家が三つ並んでいるのに似ているからというので三宅島。第六の島は明神の御蔵ということで御蔵島。第七の島は 遙か沖合にあるので沖ノ島、第八の島は小島。第九の島はオウゴ島。第十の島は十島(としま)と名付けた。

*第七の沖の島は一名ヤタケ島、すなわち八丈島、第八の島は八丈小島、第九のオウゴ島はオウの島、すなわち青ヶ島、第十の島は利島と見られる。

御神木

神池畔に樹齢千余年を経る楠の御神木。
三島七木のひとつであり、現存するただ一本の老木。
その他、天然記念物指定の金木犀の大木があったが、真冬で葉すらない状態だったので掲載しませんでした。

神池と厳島神社

その後大明神は三宅島に宮を作って住み、大島、新島、神集島。三宅島、沖の島の五島にそれぞれ后を置き、后たちは多くの子供を作って、(八人の妃神と二十七人の御子神を配置した)一族は反映するに至った。

こうして三島神を主神とする神系譜が形成されるに従い、その妃や子にも様々な名前が付けられたが、三島神だけは最初からの呼称が残されていた。

それは御島、つまり海島の神という神名であると推測できる。


尚、三島神は三宅島(現:富賀神社)から賀茂郡大社郷である白浜の地に移された。
それがさらに平安時代の末頃、田方群の伊豆国府の附近に遷座した。(途中、大仁町の式内社~廣瀬神社・輕野神社に遷座されたという説あり)

富士山の麓にある三嶋大社は大山祇命(山の神)と思われがちなのだが、三宅記の神話を読む限りでは、海の神様~事代主命(エビス様)が三島神であるように思う。

当然国学者による論争があり、明治六年
に事代主命が御祭神となったが、昭和二十六年に山も海も関係するのだから、という事で二柱を御祭神とした。

国譲り神話で国を譲ることになってしまった咎を受けて、美保で青柴垣に引き籠った事代主神が、伊豆の三宅島で三島明神になったとする伝承もある。

袚所神社
(三嶋大社境内末社)

最後に境内の西端に鎮座されている通称『浦島さん』こと、袚所神社について。

御祭神~瀬織津姫神・速秋津姫神・氣吹戸主神・速佐須良姫神の四柱


御由緒
昔、桜川の清流が流れ込み島を迂回してみるからに清々しい所であった。
國司の長が此の島に袚所大神を鎮斎し、國司が三嶋大社参拝の折、必ず國の卜部(占い師)をしてお袚いを行なわしめたのが、袚所神社の起源であると伝えられている。

以来、桜川は袚所川とも呼ばれ、また此の島の西側にその昔卜部が住んでいた所として裏町また袚所町又宮川町等と呼ばれて此の社の氏子区域となり祭典行事を行なっている。


伊豆國の式内社が92座もあるのは卜部(占い師)の活躍にあると言われている。
噴火や飢饉で騒々しかった9世紀の日本で、朝廷に対し伊豆の神々の祟りであると神託して、地方の神々が叙位を授かったからなのであった。

*駿河國は22座、甲斐国20座、相模国13座、伊豆國の内、伊豆諸島を含む賀茂郡に半数の46座が集中している。


そんなディープな伊豆國探訪はまだまだ続く。

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