奈良の社 『火神』 往馬大社

『火燧木神』
往馬坐伊古麻都比古神社 (往馬大社)
(奈良県生駒市壱分町1527-1鎮座)


往馬坐伊古麻都比古神社は「いこまにいますいこまつひこじんじゃ」と読み、通称往馬大社や生駒神社と呼ばれている神社。
天皇が即位の礼の後、初めて行う新嘗祭である大嘗祭にて、亀甲占いを行う際の火燧木(起こし火のタネ)は、往馬大社から献上されたものが使われており、現在もその習わしが続いている。

大和川と鉄橋
龍田大社が鎮座する龍田山を下って、最寄駅の信貫山下駅へ。
途中、近鉄線の鉄橋を通り過ぎたりしながら春の散歩。
川向こうに鎮座する久度神社の社叢がとても立派。

墳墓を崩したように見える畑
かと思えば、どう見ても古墳の跡地のような形をした畑に遭遇したり。
桜や畦道に咲く花々がとても綺麗で心が和んでしまう。

・・・と、のんびり散歩した後、生駒山地の麓を走る近鉄生駒線に乗り、一行駅で下車。
駅から徒歩10分弱で往馬大社に到着。

私的に『生駒』といえば、憂歌団の『イコマ』という曲。
♪女に生まれてよかったわ 
   本当はいいことないけれど 
   せめて心で思わなきゃ
   生きてはゆけないこの私
   生駒は哀しい おんな町ぃ~♭
ちなみに、原曲は「おんな町エレジー」という歌で、宇多田ヒカルの母君、藤圭子が歌ってます。

鳥居
(右の建物は管弦楽座)
話を戻して・・・
往馬大社は生駒山の裾野にあり、境内は緑豊かでとても広々。
特に、七棟も連座している桧皮葺春日造本殿の重厚な佇まいは壮麗。

楼門
往馬大社は生駒谷十七郷の氏神で、創始は古く奈良時代の正倉院文書に既に登場している。
古代は、生駒山を神体山(御神体)として祀られていたといい、生駒谷に人々が住み始めた太古の頃から生駒地方の守護神として崇められていた。

参道
本殿について、元々は産土神である往馬坐伊古麻都比古命の二座のみだったが、鎌倉時代に武家の守護神である八幡信仰が興隆し、五座の八幡神が合せ祀られ現在の七座となった。
江戸時代には、産土神男女一対の神は姿を隠し、牛頭天王と八王子になるが、明治以降、再び二神が再祀されたという。

拝殿
産土神である伊古麻都比古神と比賣神は『火燧木神(ひきりきのかみ)』と呼ばれていて、擦り合わせて火を付ける(燧りだす)木の神のこと。
大嘗祭で亀甲占いを行う際の火燧木は、往馬大社から献上されたものが使われる習わしとなっており、今上天皇(平成)の大嘗祭でも本神社の火燧木が使用されたという。
これが『火の神』と呼ばれる由縁であり、毎年行われる伝統神事『火祭り』が催行されている。
ちなみに延喜式では陰陽道的発想からか、二神のどちらかが祈雨の幣(すなわち『水』)を承っていたとのこと。

本殿と祝詞舎
往馬大社
御由緒書
本殿 御祭神
伊古麻都比古神 (産土の大神)
伊古麻都比賣神 (産土の大神)
気長足比賣尊 (神功皇后)
足仲津比古尊 (仲哀天皇)
譽田別尊 (応神天皇)
葛城高額姫命 (神功皇后の母君)
気長宿祢王命 (神功皇后の父君)
本殿七柱の他に境内摂末社二十社が合わせ祀られております。

迫力ある七座の本殿と拝殿
由緒
往馬大社は本来生駒山を御神体として祀られた古社であり、神社の境内を覆う鎮守の杜は奈良県の天然記念物に指定され、太古かた変わらぬ自然の杜を今に守り伝えています。
神社で最も古い記述は『総国風土記』の雄略三年(458)で、この年を御鎮座と致しますと、平成二十一年に1550年を迎えました。
また正倉院文書にも記載が見られ、奈良時代からすでに朝廷との関わりがありました。
平安時代の『延喜式』(927)では官幣大社に列せられ、その内一座は祈雨の幣も賜っていました。

生駒戎神社
(祭神:事代主命)
当初神社の御祭神は二柱でございましたが、中世に八幡神五柱を合祀して、本殿御祭神は現在の七柱となりました。
神社の宝物「生駒曼荼羅」(県指定文化財、室町時代)には七柱の神々と立派な社殿が描かれており、当時の隆盛を物語っております。

水神社
(祭神:水分神)
往馬大社は古くから「火の神」としても崇敬厚く、歴代天皇の大嘗祭に関わる火きり木を当社より納めた歴史があり、昭和や平成の大嘗祭の「齎田點定の儀」にも御神木の上溝桜が使用されました。
このような歴史のもとで、毎年十月の体育の日の前日に執り行われる火祭りは、古式豊かな伝統行事として生駒市第一号の無形民俗文化財に指定されています。
平成十九年一月吉日
(境内案内板より)

北末社
北末社 大山祇社・神明社・春日社・ 仁徳天皇社・豊受比咩社の5社、南末社には伊弉諾社(伊弉諾・伊弉冊)住吉社・猿田彦社・稲荷社の4社が祀られている。

社務所で寝ていたワンコくん
次回は、京都・奈良の社巡り最終回です☆

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