熊野古道を行く 険路 大雲取越 那智山~地蔵茶屋跡


熊野那智大社から見た日の出
平安時代に都の人々によってはじめられた「熊野もうで」は、今日「熊野古道」と呼ばれる道を通って本宮、新宮、那智の「熊野三山」に参詣するものでした。
田辺から東進して熊野本宮への山中の道「中辺路」を通り、本宮からは熊野川を小舟で下り、新宮、那智を巡拝したのち、北上し、大雲取小雲取の険路を越えて本宮へ戻り、都への帰路についた経過が、鎌倉時代の歌人・藤原定家の日記「熊野美御幸記」に克明に記されています。
(小口周辺の案内看板より)

朝日に浴びた三重搭と那智大瀧
熊野古道中辺路の中でも最も険路として名高い大雲取・小雲取越え。
せっかく熊野三山を巡るのであれば、心に残る巡礼をしてみたい・・・ということで、熊野那智大社から熊野本宮大社まで約40キロの山道を踏破してみることにしました。

青岸渡寺脇の大雲取入口
AM8:50
美滝山荘で前泊して、ボリューム満点の朝食を頂いた後に出発。
(前夜、最終バスでわざわざ山荘前に停めてくれた運転手さん、美滝山荘の御主人さんありがとうございました☆)

鬱蒼とした木々の間を黙々と登る。
妙法山との分岐を越えて、廃墟のように寂しげな雰囲気が漂う那智高原公園をそそくさと抜ける。
・・・身体が温まりきっていないのが影響しているのか、この辺りが道中で一番キツかった。

登立茶屋跡
AM10:00
ようやく登立茶屋跡に到着。

この茶屋のことを、地元色川地区の人々は昔から「馬つなぎ」と詠んでいた。
茶屋は田辺からの日用雑貨、勝浦からの海産物を商う商店もあった。
国道42号線が整備されるまで、この道は大阪、和歌山方面への唯一の幹線道路として広く人々に利用されていた。

この辺りから『熊野古道』らしく、苔が生した石畳の道が続く。
周囲の木々が人工林なのが残念・・・。

妙法山と那智勝浦湾
AM10:50
舟見峠(883.4メートル)の頂上にある舟見茶屋跡に到着。
浜から吹き上がってくる風と、妙法山と那智勝浦を望む見事な絶景で疲れも引き飛んだ!

那智勝浦湾
舟見峠の名の通り、那智勝浦湾が一望することができます。
ちなみに、ここは富士山を眺めることができる最遠の地とのことです。
ここで休息を取り再び熊野の径へ。

亡者の出会い(の近く)
AM11:10
舟見峠から色川辻にかけて『亡者の出会い』と呼ばれる場所がある。

この辺りは山道の苦しさに行き倒れた熊野詣の人々の小さな墓が点在しているらしく、これらの人々は、みなダル神に憑かれたのだと土地の伝承に残っている。

ダル神は、饑い(ひだるい)と怠いの転じたもので、山道で餓死した無縁仏の亡霊が彷徨っていて、通りがかった人に憑りつく怪で、山道を歩いていると、いきなり気が狂いそうになるほど腹がへってきて、足が進まなくなって倒れてしまいのだという。

八丁の縦割~花折街道との分岐点
山の中で、ダルにとりつかれた・・・と思ったら米粒を喰うと治ると言われている。
よって、熊野の山びとたちは、弁当を食べるとき飯粒を三粒だけは残しておくという。

熊野詣にやってきた齋藤茂吉(歌人)もダル対策(?)で、余分に飯を持参したらしいが、菌学者で民俗学者、そして熊野の地霊でもある南方熊楠は雲取山中でダル神に憑りつかれてしまった。
熊楠は二年半ばかり那智に住んでいたが、あるとき、「予、雲取にてガキ(ダル神)に憑りつかれたことあり・・・以来、後は里人の教えに従い必ず握り飯と香物を携え、そのキザシある時は少し食うてその防ぎとした」とある。
(神坂次郎著 「熊野まんだら街道」より)

・・・熊楠さんたら、御茶目です♪(南方熊楠については後程たっぷりと)

また、「亡者の出会い」周辺が位置的に丁度体力の疲れが訪れやすい場所(約2時間~3時間)というのも関係しているとも思います。

AM11:30
色川辻で林道と交差し、再び古道の中へ。
少し進むと、朱色の鳥居が立っていて、その先には他の人工林とは違う立派な杉の木々が。

寄り添うように立っている三本杉。
おそらく山の民が熊野三神に見立てて祀ったのであろう。
改めて熊野の神と山の神に、この地に来れたことに対する感謝と道中の安全を祈って再び入山。

沢沿いの道を歩く。
過年の台風の影響なのか、木々が倒れ、少し古道は荒れ気味になっていた。
賽神のように真ん丸岩が転がっています。

川のせせらぎを聞きながらハイキング。
苔に生した石造りの橋がとても良い雰囲気を醸し出している。

PM0:30
林道を歩き、ようやく昼食地点の地蔵茶屋跡に到着。
食事は美滝山荘で作ってもらったおにぎり。
とても美味しく頂きましたー。

ベンチの背後には美しい清流が。
川のせせらぎで心も鎮まる。
古の熊野詣の参詣者達も、きっとここで食事を取り休息されていたのだろう。

そして、沢の流れを眺めていると・・・

『物の怪だ・・・(汗)』

まるで大ウナギか大カワウソの妖怪みたいな生き物の頭と目が見えるような気が・・・。
(写真中央の細長い石あたりです)

何かギロっと小生を睨み付けているよう・・・きっと「ダル」の仕業に違いない。
食べていたおにぎりの米粒を川の怪(?)に差し上げて、再び歩み始めたのでした。

次回は大雲取越~後編です☆
次回リンク→http://travelog-jpn.blogspot.jp/2013/09/blog-post_18.html

Comments

Popular posts from this blog

信濃探訪 : 守矢史料館 一子相伝の古代諏訪口伝

沖縄久高島巡礼 徳仁川拝所と久高島の町並み

「今伊勢に坐する元伊勢」 酒見神社