4 May 2018

甲斐の社 北口本宮冨士浅間神社  「諏訪の森」に建つ富士の社

北口本宮冨士浅間神社
(山梨県富士吉田市上吉田 5558鎮座)

参道
北口本宮冨士浅間神社は、富士山吉田登山口の麓に鎮座するお社。
杉の巨木と石灯籠に囲まれた一本道がとても美しい参道です。

朱鳥居
当地は古来より上吉田の「諏訪の森」とされ、広大な社地には諏訪神社が鎮座し、この地域元来の土地神、産土神として崇敬されていましたが、戦国時代に領主の命により吉田の諏訪禰宜に浅間神社を勧請するよう下命し、その後武田信玄が当地に富士権現を造営したことがここの冨士浅間神社の始まりといわれています。

隋神門
よって、本神社で開催される国指定重要無形文化財に指定されている日本三奇祭「吉田の火祭り」も実は「諏訪神社の例祭」とされてます。

その後元和年間(1615年~)社殿を造営・改築を重ねてたがその後荒廃したものの、享保年間になって、富士講の行者であった村上光清が各地で寄進を募って再興し、富士講の参詣者を集めて周辺には御師の宿坊が百件近く立ち並び隆盛を極めました。

その後、モータリゼーションの発達等により富士吉田の登山道は廃れていきましたが、本神社は富士吉田を代表する社として多くの参詣客を集めております。

社殿外景
北口本宮富士浅間神社(山梨県富士吉田市上吉田5558鎮座)
御祭神
木花開耶姫命、彦火瓊瓊杵尊、大山祇神
由緒
景行天皇四十年(110)日本武尊が東方遠征の折に当地を御通過、大塚丘の上にて富士山を遥拝され、小祠を営んだことを発祥とする。
延暦七年(788)甲斐守紀守紀豊庭により現在の位置に社殿を建立、以後逐次造営改築がなされ、現在の本殿は元和元年(1615)の建立である。

本殿・及び摂社である東宮本殿・西宮本殿の三棟は、国の重要文化財、境内地は国の史跡、吉田の火祭りは、国の重要無形民俗文化財にそれぞれ指定されている。
西宮本殿向かって右の白木の鳥居が富士山吉田口登山道の起点である。
(以上、御朱印半紙より)

あまり詳細な由緒が分からなかったので、文化庁の重要文化財等データベースで検索してみると、以下の記述がありました。

拝殿及び幣殿は江戸中期元文四年(1739年)、本殿は元和元年(1615)の建立で、国指定重要文化財に指定されてます。
北口本宮冨士浅間神社は富士山北麓の吉田口登山道の起点に所在する。
18世紀中期に江戸の富士講六世の村上光清が各地で寄進を募り,荒廃していた社殿を再興した。

神楽殿
拝殿及び幣殿は正面中央に構える大きな唐破風造の向拝を彫刻や彩色,錺金具により飾り,参詣者のための壮麗な礼拝空間を創っている。また神楽殿や手水舎などにも豊かな装飾が施されている。
これらの社殿は富士講の寄進により再興され,森厳な境内に近世らしい装飾豊かな参詣の空間を創出している。その造営には地元の郡内大工が当たり,随所にその流派的特徴が認められる。富士山信仰の隆盛を背景に整えられた,地方的特色の顕著な社殿として重要である。
(以上、文化庁 国指定文化財等データベースより)

左 (上):西宮本殿 右 (下):東宮本殿

西宮本殿は安土桃山時代の文禄三年(1594年)建立の社殿。
天照皇大神、琴平大神、豊受大神の三神を祀っています。

東宮本殿は室町時代後期の永禄四年(1561年)建立の社殿。
御祭神は天津日高火火出見尊で武田信玄の命により造営されたといわれています。
尚、東宮、西宮ともに国重要文化財に指定されております。

祖霊社
祖霊社の先に大塚丘という北口本宮発祥の地で日本武尊を祀った祠がありましたが失念。
もし訪ねていたら、本神社に対する心象も変わったのかもしれません。

諏訪神社


諏訪神社
そして、壮麗な「富士講の社」の境内脇に追いやられるかの如く、朱色の総門と祠が坐してます。
かつての「諏訪の森」の中心に鎮座していた諏訪神社が北口本宮の摂社として祀られております。

総門より社殿を眺める
北口本宮富士神社摂社「諏訪神社」 
御祭神  建御名方神 八坂刀売神

由緒
勧請年代は不詳であるが古くから当社一体の森を「諏訪の森」と呼ぶことや『甲斐國志』巻之七十一上〔諏方明神〕の記述からも相当の古社であることが伺える。
元々は当地域の氏神であったが、明治維新の際に北口本宮の摂社となる。
例祭である「鎮火祭」は日本三奇祭の一つに数えられる「吉田の火祭り」のことで、勇壮な神輿の渡御や高さ三メートルにも及び大松明八十本余の焚き上げ等、例年大勢の参詣客で賑わう。
(以上、御朱印半紙より)

本神社は江戸時代に流行した富士山遥拝「富士講」の総本社という位置づけ、という少し穿った見方をしているかもしれませんが、関東地方の神社を巡ればほぼ「富士塚」がありますし、かつての民衆信仰「富士講」の影響力は相当なものだったのでしょう。



次回は須走口の浅間神社です。